ちがいをちからに変える街。渋谷区

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平成28年第4回区議会定例会での発言

更新日

2016年11月24日

(11月24日(木曜日)、第4回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに平成二十八年第四回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

一 初めに、渋谷区基本構想についてです。
(一)前回定例会において、これからの渋谷区の未来像として、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」という新たなフレーズを掲げる新しい渋谷区基本構想をご議決いただきました。
 渋谷は、これまでも、様々な個性を受け入れてきた寛容性の高いまちであり、一人ひとりの違いが新たな価値の創造と活力を生んできました。このようなまちに生まれ育った私は、長年にわたってはぐくまれてきた伝統や文化とともに、ファッション・ストリート文化など日々新しい価値が生み出され、世界に発信される姿を直接目にし、肌で感じてきました。
 今後もこれまで推進してきたダイバーシティとインクルージョンの考え方を浸透させ、区民はもとより、国内外からの渋谷を愛する多様な人々が混じり合い、支え合うことにより、渋谷区が成熟した国際都市として成長し続けるための原動力とし、さらに渋谷区を発展させていきたいと考えています。
(二)この基本構想を今後の区政運営の指針とし、誰もが生き生きと安心して住み続けられるまちづくりをみんなで一緒に進めていくには、基本構想の内容を広く周知し、多くの人に理解され、共感を持っていただくことが必要です。
 そのため、文字だけではなくイラストなどのビジュアルを加えたPR用の冊子の作成に加え、アニメーションなども使用したプロモーション動画を制作し、これからの渋谷を担う子どもたちだけでなく、渋谷を訪れる国内外の人々にも、基本構想が目指す理念をわかりやすく、伝えていきたいと思います。
 本定例会では、その経費を補正予算として計上しました。
 今後は、来年二月にリニューアルを予定している区ホームページなど、区が持つ情報媒体、いわゆるオウンドメディアを通じて、国内外を問わず、積極的に発信してまいります。

二 次に、教育に関する取組についてです。
 (一)IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)といった言葉があふれる現在は、第四次産業革命の時代とも言われます。身近な物の働きがインターネットを通じて最適化されるようになったり、人工知能が急激に進化するなど、社会の変化はさらに加速度を増し、将来の予測は、きわめて困難になっています。
 しかし、教育に求められるのは、どのような状況にあっても、子どもたち一人ひとりが、自らの可能性を最大限に発揮し、より良い社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにしていくことだと私は考えています。
 教育委員会とは、総合教育会議をはじめ、様々な機会をとらえ、意見を交換し合っていますが、子どもたちの個性と能力を尊重しながら未来を担う人材を育成していく上で、特に二点について、取り組んでほしいと要望しています。1.一点目は、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みとして、心のバリアフリーの浸透をレガシーとして残したいということであり、2.二点目は、最先端のICT(Information and Communication Technology)を教育に活用していくということです。
(二)これまでも折に触れ述べてきましたが、多様性を尊重する社会であるダイバーシティの問題は、決してマイノリティ(少数者)の問題ではなく、マジョリティ(多数者)の意識の変化こそ重要です。このマジョリティの意識の変化が進むよう、啓発活動に努めてまいりますが、教育においても、オリンピック・パラリンピック教育を推進する中で、教員はもちろん、子どもたちのみならず、さらには保護者や学校を支えてくださる地域の人々の意識をも変えていってほしいと思います。そして、これは、新しい基本構想の実現に向けての一歩でもあります。
(三)ICTの教育への活用については、本年度当初より代々木山谷小学校をモデル校として指定し、最先端のICT環境の構築に向け研究を進めています。携帯電話回線を用いたタブレット端末を一人一台貸与し、学校だけでなく持ち帰って家庭でも使うという「学校と家庭をシームレスに(つぎめなく)つなぐ学習」の検証では、学校から「タブレット端末を使った家庭学習に子どもたちがとても熱心に取り組み、基礎学力の高まりが見られる」などの成果が上がっているとの報告を受けています。
 また、プログラミング教育では、広尾中学校で企業との共同研究という形で先行実施しました。内容は、タブレット端末を用い、アプリケーション上のバーチャル空間に建物を建てることを目指すものですが、自分の望む建物を作るために入力すべき命令を考えることで、論理的な思考力を育てることになります。また、笹塚中学校では、タブレット端末でロボットを制御して問題解決を図るプログラミング教育を実施する予定です。
 学校でのICT機器の活用が、従来の黒板とチョーク、ノートや鉛筆に並ぶ便利なツールの一つにとどまることなく、タブレット端末を介して協働的な学びを行うことによってイノベーションを体験するなど、これからの社会で役立つ知識の活用力と創造力を子どもたちから引き出す、いわば触媒として働くことを期待しています。
(四)現在、国が検討を進めている新しい学習指導要領では、平成三十二年度から、小学校五・六年生での英語の教科化や、小学校段階からのプログラミング教育の導入などが予定されています。
 これらは、昨年十一月に策定した渋谷区教育大綱で私が掲げた「グローバル社会を生き抜く『知恵を身につけた社会人』を育成する教育の推進」が具体化されたものと、意を強くしたところです。
 このグローバル社会を生き抜く「知恵を身につけた社会人」の育成に向けては、ICT教育の推進とともに、国際語としての英語教育が重要なことは言うまでもありません。
 本区では、いち早くALT(英語指導助手)の配置や派遣を行うなど、英語教育に重点的に取り組んできました。本年度からは、神宮前小学校を小学校英語教科化のモデル校として指定し、ALTを常駐させていますが、子どもたちは、休み時間や給食時に、ALTに習った英語を使って話しかけ、「ドキドキしたけれど、通じてよかった」という経験を重ねています。また、運動会では、種目の紹介をALTの先生が英語で行うなど、日常の活動にも英語が使われることが増え、保護者や地域の方々から「国際的になってきた」との評価をいただいています。
 来年度は、その研究成果をモデル校以外の小学校にも展開し、東京都が国に先行し掲げている平成三十年度からの小学校英語教科化にも対応し、さらに円滑な実施を目指します。
 同時に、学校図書館専門員を活用した読み聞かせやブックトークなどの読書活動を推進するとともに、調べ学習でのチーム・ティーチングなど学習活動支援の充実を図ってまいります。これにより、「バーチャル」であるICT教育と「リアル」である読書活動、さらには英語教育と国語教育のそれぞれが、両輪として相乗効果をもたらし、子どもたちの言語能力を重層的に育成することができると考えます。
(五)次に、中国、フィンランドに加え、今年度から新たに実施する「シリコンバレー青少年派遣研修」についてです。
 派遣研修は、子どもたちがそれぞれの国の生活習慣や歴史・文化の違いを認識するとともに、コミュニケーションを通じお互いを理解し合うことの重要性を直接肌で知る絶好の機会です。来年三月に実施するシリコンバレー青少年派遣研修は、加えて、英語教育とICT教育の両面からも意義深いものです。世界を、未来を肌で感じることの大切さに気付き、自分らしい判断をするための軸を持ち、失敗を恐れず、一歩踏み出す力を身につけることを目的としたプログラムを予定しています。教育委員会の協力のもと、ICTやプログラミング、起業や社会貢献に関心を寄せる意欲あふれる中学生が選考され、現在、研修が始まっています。彼ら/彼女らの学びと成長に期待します。
 また、幼児教育の重要性が世界的に再認識されているところであり、本区でも先ごろ職員をイタリア、スイスに派遣し、先進的な幼児教育を視察させました。
 そこでは、何ができたという結果を重視するのではなく、子どもたちそれぞれの意思や個性を尊重し、個々の特性を生かすアプローチを重視していたとのことです。例えば、イタリアのレッジョ・エミリアで行われていた少人数に分かれての表現活動では、一人ひとりの子どもと保育者との対話の中で発せられる言葉を尊重し、紙や布、粘土などの素材のほか、カメラやタブレット端末などの機器も使って、子どもたち全員でアイディアを出し合いながら、子どもの自主性や創造性をはぐくむ教育が実践されており、今後の渋谷区の幼児教育に生かすことのできる要素が実感できたとの報告を受けました。
 その成果は、今後改訂を予定している「渋谷区幼児教育プログラム」に反映させ、世界標準の幼児教育の展開を目指していきます。

三 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案十三件、平成二十八年度一般会計補正予算案一件、道路認定一件、指定管理者の指定十件をご提案しております。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げ、私の区長発言といたします。