ちがいをちからに変える街。渋谷区

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平成30年第2回区議会定例会での発言

更新日

2018年6月4日

(6月7日(木曜日)、第2回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに平成30年第2回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

一 初夏のさわやかな風が吹くこの季節は、街全体も明るい日差しに包まれ、生き生きと元気な姿を見せてくれています。
 清々しい気候の中「6月第1日曜日は、渋谷おとなりサンデーの日」を合言葉に、6月3日の日曜日、渋谷区内の各地域で、思い思いの地域交流の場が盛況のうちに開催されました。
 今年の「おとなりサンデー」では、オープニングセレモニーを笹塚駅前で行い、多くの賑わいを呼び、また、初台緑道を舞台に、子どもたちが昔遊びや新潟県南魚沼市から運んでいただいた雪で、元気に楽しむ姿も見られました。
 この「おとなりサンデー」は、ご近所の方と顔見知りになり、地域の防犯や清掃、子どもから独り身のお年寄りの見守りなど、同じ地域の人たち同士で助け合うこと、また、町会や商店会活動に新しい仲間や参加者を増やしていくことなど、人と人の語らいの中で地域の絆を深めていく取組です。幸いにも、昨年から始めたこの取組も、多くの皆様のご賛同を得て、確実に広がりを見せてくれています。
 区は、今後も区民だけではなく、企業や各種団体を含め、多くの人たちが関わり合い、地域コミュニケーションを活発にする「おとなりサンデー」を大きく発信し、全力でサポートしていきたいと思います。

二 本年4月「一般社団法人 渋谷未来デザイン」が設立されました。「渋谷未来デザイン」は、区民と渋谷に集まる多様な人々のアイデアや才能を収集し、オープンイノベーションを起こすことで、社会課題の解決や、渋谷の未来を生み出すプロジェクトを構築し推進していく、産官学民の連携プラットフォームとなる組織です。今後、渋谷区基本構想に掲げられた未来像「ちがいをちからに変える街。渋谷区」を実現するために、様々な取組を展開していきますが、まずは都市間の連携事業として、広島県が実施する「ひろしまサンドボックス」に「渋谷未来デザイン」が連携していくこととなりました。
 「ひろしまサンドボックス」とは、広島県内をAIやIOTなどを活用した実証実験の場として提供することにより、県内外から多彩な企業や人材を呼び込み、これまでにない新しいソリューションを創り出すという試みです。湯﨑英彦広島県知事は、この取組について「トライ&エラーを繰り返し、面白いこと、新しいことに取り組む場にしたい。」と言っています。
 時を同じくして始まった二つの事業が連携することで、広島県と渋谷区の価値が共に向上することを大いに期待しています。

三 次に、新庁舎を想定した新たなオフィス空間(パイロットエリア)の整備についてです。
 来年1月の新庁舎移転まで、後約七か月となりました。本区は、新庁舎オープンをワークスタイル改革の絶好の機会と捉え、これまで「業務の効率化」、「オフィスデザイン」、「システム構築」等について、新庁舎プロジェクト検討体制を立ち上げて議論を重ねてきました。今年度はさらに、組織としてワークスタイル改革担当を設置し、新庁舎移転を契機としたオフィス改革に向けた動きを加速しているところです。
 こうした中、本年4月、第一仮庁舎西棟3階の一部に、新庁舎を想定した新たなオフィス空間(パイロットエリア)を整備しました。まずは、机、椅子、書庫、個人用ロッカーなどを新庁舎仕様の物に入れ替えると同時に、ミーティングスペースや立ち会議テーブルを設置し、資料や文書のペーパレス化の取組を開始しました。
 現在、パイロットエリアでは、関係所管が新たな環境の中で業務を実施しながら、課題や検討すべき問題を整理し、改善提案やルールの見直しによる検証を行っているところです。
 今後は、全ての職員に対して、新たな提案やルールをパイロットエリアから情報発信し、ひとりひとりの職員の意識改革や職場風土の変革に努めるなど、新庁舎への移転に向けた準備をしっかりと進めることで、業務効率が良く、誰もが働きやすいと感じられるオフィス環境を実現し、庁舎を訪れる皆様へのサービス向上に寄与したいと考えています。

四 いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が2年後に迫ってきました。世界最大のスポーツの祭典を迎えるに当たって、国内及び東京都における大会の準備も本格化しています。
 本区にも競技会場があり、多くの来街者が予想される中、安全・安心の大会運営や〃おもてなし〃の準備に万全を期すとともに、区内開催競技を中心とした気運醸成をより推進してまいります。
 次に、大会時に、多くの区民の皆様に競技観戦をしていただくために、見て知って感じる「リアル観戦事業」として、今月の「渋谷区長杯第2回渋谷区パラバドミントン大会」を皮切りに、6競技を順次実施してまいります。その際には観戦だけにとどまらず、選手の活躍を様々な方法で応援していきたいと思います。
また、多様な個性が交じり合った文化・音楽・ファッションなどを観て感じ合う「文化プログラム」については、東京2020パラリンピック競技大会開会式のちょうど二年前に当たる今年8月25日に開催し、大会開催時のコミュニティ・ライブサイトにつなげてまいります。

五 次に「渋谷区版ネウボラ」の推進についてです。
 本区はこれまで、フィンランド視察の成果などを参考に、渋谷区基本構想に掲げる「出産前から、子どもが成長した後に至るまで、子育てを切れ目なく支援する街」の実現のため「渋谷区版ネウボラ」の構築に向けて、施設整備や機能について検討を進めてまいりました。
 「渋谷区版ネウボラ」は、母子保健法に基づく「母子健康包括支援センター」を基盤として、区と関係機関、さらには地域が連携することで、妊娠期から子育てと家庭の総合相談支援体制を一体的に実現するためのものです。
 今後は、このような総合相談支援体制を「渋谷区子育てネウボラ」と命名し、区民の皆様に広く発信することで、様々な子育ての悩みを気軽に相談でき、親だけでなく地域の誰もが子育ての仲間となり、集い、語るといった子育て支援環境を整備するため、準備を進めてまいります。

六 次に、区政の最重要課題の一つである待機児童解消と保育の質の確保についてです。
 本年4月には「認可保育園」を七園開設し、614人の定員拡大を図りました。こうした中で、本年4月の待機児童数は、151人となり、昨年4月の266人と比較して115人減少しました。2年連続で着実に減少しているものの、依然として多くの待機児童が発生している現状を厳しく受け止め、引き続きスピード感をもって定員拡大を図ってまいります。本年10月には、東1丁目に認定こども園一園の開設を予定しているほか、来年度には、現段階で380人の定員拡大を予定しています。これらの計画を確実に実現するため、引き続き、近隣住民の皆様のご理解・ご協力を得られるよう努めながら、区議会とも連携して取り組んでまいります。
 併せて、区立保育室や認証保育所の一部では、4月の時点で空きがある施設もあることから、利用を希望する方と施設とのマッチングについてさらに検討を進めます。
 一方、こうした待機児童対策と合せて両立させるべき重要な課題は、良質な保育・教育の確保です。保育施設の増加に対応すべく、今年度から、保育施設への巡回指導体制の強化や保育士のスキルアップを目的とした研修体制の充実を図っていますが、さらに、本年5月には「国立大学法人 東京大学大学院教育学研究科」と「保育・教育・研究交流連携事業に関する協定」を締結しました。この教育学研究科の設置した「発達保育実践政策学センター」は、次代を担う子どもたちの育ちの場、環境を重視する立場から保育・教育の質の保証と向上に関わる様々な課題に向けて、総合的な研究を行う拠点として平成27年に設立されました。今後は、この協定により、東京大学大学院から保育の質に関する知見やデータの提供を受け、保育・教育の質の向上を図ってまいります。

七 次に、教育における取組についてです。
 誰もが人間ならではの感性や創造性を発揮し、自らの「可能性」を最大化していくこと、そして誰もが身に付けた力を生かして、それぞれの夢に向かって志を立てて頑張ることができる「チャンス」を増やしていくこと、これらを共に実現するためには、教育は非常に重要な役割を果たすものと考えます。
 このような考えも踏まえ、本区では、子どもたちが自信を持ち、夢と志に向かって挑戦し、様々な分野で社会貢献ができる人材の育成を図るため、今年度の学校教育施策の重点として、ICT教育の推進、オリンピック・パラリンピック教育の推進、特別支援教育の推進などを掲げ、既に様々な取組を実行に移しています。
まずは、ICT教育に関する取組です。昨年9月にタブレット端末を児童生徒全員に貸与し、いつでもどこでも学習できるICT環境を実現させましたが、今年度からは、その本格実施の段階に入ります。授業や家庭でのタブレット活用が量的充実にとどまらず、質的充実が図られ、子どもたちの豊かな学びにつながるよう、継続的な支援を行ってまいります。
次に、オリンピック・パラリンピック教育に関する取組です。
 全ての区立小・中学校が東京二大会までに、ウィルチェアラグビーやバドミントン等の体験を1回以上実施するとともに、今年度から、パラリンピック教育にて体験を行う競技種目の選択肢を22の種目に拡大し、子どもたちが多様な体験ができる環境づくりに取り組んでいます。
また、本区と「公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」が、連携し作成した「東京2020算数ドリル」を、本年4月、区立小学校第六学年の児童に配布しました。このドリルを活用することにより、基礎学力の定着に加え、各競技についての理解を深めるなど、オリンピック・パラリンピックへの関心を一層高めてもらいたいと考えています。大会まで約2年と迫る中で、今後も、本区の地の利を生かしたオリンピック・パラリンピック教育に関する取組を進めてまいります。
 教育に係る取組の最後は、特別支援教育に関する取組についてです。今年度は、小学校における区内5校目の特別支援教室拠点校として、加計塚小学校に特別支援教室「しらうめ」を開室しました。また、区内6校目の知的障害特別支援学級「ちはと学級」を鳩森小学校に開級しました。中学校においては、代々木中学校を特別支援教室拠点校とし、情緒障害等通級指導学級「くすのき学級」を特別支援教室「くすのき」に改め、今年度から巡回指導教員による指導を開始しています。今後も、特別な教育的支援が必要な子どもたちの自立や社会参加に向けて、それぞれの能力を十分に伸ばせるような取組を進めてまいります。

八 次に、防災についてです。
 この4月以降、震度5弱以上の地震が島根県西部、北海道根室半島南東沖、長野県北部で発生し、日本が地震大国であるということを改めて認識するとともに、地震に対する日頃の備えの大切さを強く感じたところです。
 本区は、本年3月、災害時に発生する膨大な業務に優先順位を付け、適切に業務を遂行するため「渋谷区業務継続計画」を策定しました。これにより、非常時優先業務の執行体制や手順が明確となり、早期の災害対応が可能となります。
 また、防災上の新しい考え方を具体化したものとして「渋谷区災害受援計画」を策定しました。これは、「業務継続計画」をより実践的に展開するための計画であり、災害時における、警察や消防等、あるいは他の自治体からの応援の受入れ体制を整理した計画です。
 さらに、災害時における区役所職員の行動指針を具体化した「渋谷区災害時職員行動マニュアル」を策定しました。これは、災害発生時の応急対応業務について、留意点や具体的な行動手順等を明確にしたもので、訓練等を通じて職員に周知徹底を図り、各部内で認識を共有することによって、職員は迅速に応急対応を行うことができるようになります。
 今後、これらの計画等については、9月の「総合防災訓練」や一月の「区民防災点検の日」の活動に反映させながら、必要に応じて、点検・見直しを行い、より実効性の高いものにしてまいります。
 
九 最後に、高齢者福祉及び障害者福祉についてです。
 まず、高齢者福祉についてですが、今年度「第7期高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」がスタートしました。「いきいき、あんしん、ささえあいのまちづくり」を基本理念として、地域で支え合う地域包括支援体制の充実を目指し、高齢者が安心して住み慣れた地域の中で暮らし続けられるように、今後3年間に渡る様々な具体的施策が盛り込んであります。
 「第7期計画」においては、重点施策の一つとして超高齢社会の進行に合わせ、福祉基盤の整備を挙げています。特に、入所希望者が400人を超えている特別養護老人ホームの整備については喫緊の課題です。
 5月1日には、特別養護老人ホーム100床を中心とし、ショートステイ、グループホーム、デイサービス、地域包括支援センターからなる高齢者のための複合施設として、「渋谷区つばめの里・本町東」が開設しました。また、特別養護老人ホーム八十四床を中心とする「渋谷区高齢者ケアセンター跡地複合施設(仮称)」の整備を進めているところですが、本定例会にその指定管理者の指定についての議案を提出しております。
 一方、特別養護老人ホームの申込みにつきましては、昨年、申込時期や申込可能な施設数の変更などを行ったところですが、区民の皆様の切実な状況に鑑み、名簿登載までの時期を短縮するなど、本年8月から更なる改善を行う方向で調整を進めており、ハード、ソフトの両面から、課題に取り組んでいます。
 続いて、障害者福祉についてです。こちらも今年度から新たな「渋谷区障害福祉推進計画」がスタートしました。この計画では、「誰もが自分らしく暮らせるまち しぶや」を基本理念に「自己決定を支える相談体制をつくる」、「ライフステージに沿った切れ目のない支援を実現する」、「互いを理解し支え合う地域づくりを進める」という三つの基本目標を掲げています。
相談体制については、4月から代々木の杜ピア・キッズにおいて、障害や発達に遅れがある児童のための相談支援事業を開始しました。また、新庁舎内に整備する「基幹相談支援センター」の開設準備のため、はぁとぴあ相談ステーション内に準備室を設け、関係部署による連絡会を開始しています。
 一方、親亡き後も、障害のある人が住み慣れた地域で住み続けられるよう、間もなく利用が終わる「幡ヶ谷高齢者共同住宅」をグループホーム、短期入所、相談支援事業の機能を有する障害者施設として新たに整備します。来年4月の開設に向け、現在、改修工事や運営を担う事業者の選定作業を進めています。
 また、計画の進捗状況については、渋谷区自立支援協議会に随時報告し、PDCAサイクルによる評価・見直しを加えながら、誰もが自分らしく暮らせるための施策を、スピーディーに進めていきたいと考えています。
 今後も引き続き、渋谷区基本構想に掲げる福祉分野の将来像「あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。」を実現するため、それぞれの計画に基づき、高齢者及び障害者への新たな支援事業の創設や社会資源の活用を積極的に推進してまいります。

十 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案7件、契約案件9件、道路認定10件、指定管理者の指定案件2件、報告案件6件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。