ちがいをちからに変える街。渋谷区

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令和元年第2回区議会定例会での発言

更新日

2019年6月6日

(6月6日(木曜日)、第2回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

 
 私は、先の区長選挙において、区民の皆様から広く力強いご支援を賜り、再び区政運営の重責を担うことになりました。元号も「令和」に改まり、新たな時代の幕開けに区長として身の引き締まる思いを噛みしめています。「令和」には、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められているといいます。これは「ダイバーシティとインクルージョン」を謳う本区の基本構想とも符合するものです。
 私は、1期目において、諸先輩が築かれてきた素晴らしい渋谷区を継承しつつ、創造性を加えて更に発展させ、次の世代に繋げていきたいという思いから、まず着手したのは、20年先を見据えた「渋谷区基本構想」の策定でした。「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」このスローガンは、子育て、教育、福祉、健康・スポーツ、防災、環境、文化、産業振興と、あらゆる分野を包含し、成熟した国際都市を目指す渋谷のまちづくりの基本理念です。 
 一方、人々の生き方や価値観などが多様化した現代社会においては、これまでの行政が主導する手法だけでは、解決が困難な課題が山積しています。幸い本区には、多彩な社会資源が豊富に揃っています。そこで、民間企業、NPO、大学等、産官学民の連携の手法を進め、課題解決とともに、新たな創造を企図しています。
 「もっともっとアクティブな渋谷区へ」を念頭に置き、4年前に掲げた政策において実現したもの、また、具体的に動き始めているものがあります。今回新たに掲げた政策は、多様な人々が集う本区の持つポテンシャルを更に引き出し、より大きく伸ばすものだと思っています。
 私は、2期目の区政運営に当たって「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ」全力を傾け、区議会とも協力しながら、先頭に立って汗をかいていく所存です。
 
一 安全・安心のまちづくり
 数年、アルコール飲料のビンや缶を含め、大量のごみの不法投棄や器物損壊など、社会問題にまでなっているハロウィーンについて言及しました。昨年、逮捕者を出すまでに至った事態を看過することはできず、今後の対策を検討する会議体を設置し、イベント開催などによる渋谷駅周辺地域に集まる群衆の人数の抑制や、路上における飲酒禁止を含む規制、交通規制のあり方などを検討し、具体的な方策に向けて動き出すことを表明しました。
 翌々日の2月27日には、広島県警察本部長や東京都副知事を歴任された竹花豊氏に座長をお願いし、地元の商店会や町会、青少年対策地区委員会、民間の関係者、警察からなる「渋谷ハロウィーン対策検討会」を立ち上げたところ、計7回の検討会が開催され、先月15日に中間報告をいただきました。
 私は、この報告を真摯に受け止め「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」の制定について本定例会に上程しています。
 また、この条例をご議決いただいた際には、速やかに、中間報告で提言のあった「渋谷ハロウィーン対策実施連絡会(仮称)」を設置し、条例の実効性の確保を含め、さまざまなハロウィーン対策の具体化を検討してまいります。
 
二 路上喫煙の禁止
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、国内外から多くの来街者が訪れることが予想されます。
本区としては「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」を改正し、本年4月から、指定喫煙所を除き、吸い殻のポイ捨てや受動喫煙に繋がる路上や公園等での喫煙を禁止しました。
現在、平日はもちろんのこと、土日・祝日を含め8時から22時まで、分煙対策指導員による路上等喫煙防止の普及啓発及び指導を行っていますが、渋谷駅周辺では、朝になると吸い殻が大量に路上に散乱している状況が日々見受けられます。したがって、深夜帯においても、巡回指導を行う必要性を強く感じています。
 また、指定喫煙所のあり方として、区民や来街者を受動喫煙から守るために、パーテーションによって仕切られた屋外喫煙所である「渋谷駅モヤイ像喫煙所」を、外に副流煙が漏れない構造のコンテナ型喫煙所へ変更することを検討しています。
 7月1日から実施する違反者からの過料徴収を踏まえ、今後も喫煙対策をより強化し、生活環境の向上に取り組んでまいります。
 
三 渋谷おとなりサンデーの日
 今年は、プレ企画として5月7日から区役所15階で「おとなりサンデーパーク」を開設し「おとなりサンデー」に関する企画や準備、各種届け出の相談窓口や地域コミュニティーを題材とするトークイベントなど、新たな試みを展開しました。
また、昨年に引き続き、区内各地域の商店会のご協力の、「おとなりサンデー」のフラッグを掲げた周知にも取り組みました。
 6月2日当日は、情報発信の拠点として、千駄ヶ谷地区の鳩森八幡神社やS-SAP協定を結んでいる津田塾大学を中心に、地域を巡りながら、青空将棋やスリッパ卓球、津田塾大学千駄ヶ谷キャンパス祭との連携企画などを多くの人たちが楽しみ、賑わいを見せていました。
 今後も区民だけではなく、企業、団体、多くの人たちが混じり合い、地域コミュニケーションを活発にする「おとなりサンデー」を大きく発信していきたいと思います。
 
四 渋谷区子育てネウボラ
 先月20日、第二美竹分庁舎で「渋谷区子育てネウボラ」がスタートしました。
 専用ホームページを立ち上げ、フィンランドのネウボラや区が行っている妊娠期から18歳までの切れ目のない子育て支援をご案内することにより、区民の皆様への周知・広報に努めています。
今月からは、既に開始している妊婦全数面接に加え、育児パッケージの配付が始まります。妊婦全数面接は、今後、子育て支援のLINEによっても予約が可能となります。
 9日の日曜日には、ネウボラの紹介や、育児パッケージの展示、さらに、妊産婦を対象としたワークショップや体験講座などを内容とするオープニングイベントを実施します。
 
五 待機児童解消と保育の質の確保
 今年度は、4月に「認可保育園」2園を開設したほか、7月には「小規模保育施設」一園を、10月には「認可保育園」三園を開設する予定となっており、合計で436人の定員拡大を図ります。
 また、本年4月の待機児童数は、92人で、昨年の151人と比較して、59人の減少となっています。3年連続で着実に減少しているものの、依然として、多くの待機児童が発生している現状を厳しく受け止め、引き続きスピード感をもって定員拡大を図ってまいります。
 一方、待機児童対策と合せて両立させるべき重要な課題は、良質な保育・教育の確保です。保育施設の増加に対応すべく、昨年度から、保育施設への巡回指導体制の強化や、保育士のスキルアップを目的とした研修体制の充実を図っていますが、今年度もこれを着実に行い、保育・教育の質の向上に努めてまいります。
 
六 教育
(一)ICT教育
 平成29年9月に、全ての児童・生徒に一人一台のタブレット端末を配付して3年目を迎えることから、11月8日を「渋谷タブレットの日」として、これまでの取組をはじめ、学校での活用の様子を広く発信する予定です。当日は、各校において公開授業や研究発表を行い、他自治体に先駆けて推進しているタブレット端末の活用の成果や課題を、全国に発信していきます。
(二)外国語教育
 小学校では、来年度から新学習指導要領が全面実施となり、小学校第3学年から外国語活動、第5学年から教科としての英語が始まります。区では、小学校における外国語教育の充実を図るため、今年度、小学校第4学年の全児童が、東京グローバルゲートウェイを訪問し、外国語活動で身に付けたキーフレーズや、実践的なコミュニケーション力を生かし、英語学習への更なる興味・関心に繋げてまいります。そして、その成果をその後の学習活動や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で来日する来街者の方々へのおもてなしの心や行動に生かしてまいります。今年度は、「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」が予定されています。競技を観る際に、昨年度までの取組を生かし、選手や大会を「Cheer up(チア・アップ)」することを推進してまいります。
(三)特別支援教育
 本年4 月に、区内6校目の特別支援教室・巡回指導拠点校・千駄谷小学校「かやのき」を開室しました。これにより、小学校3校に1校の割合で特別支援教室・巡回指導拠点校の設置となりました。引き続き、一人一人の教育ニーズに寄り添い、児童・生徒の将来の自立と社会参加に向けた特別支援教育を推進してまいります。
(四)教員の働き方改革
 教員が心身ともに健康で生き生きとしていることが、結果的に子ども達としっかりと向き合い、質の高い教育活動に繋がるものと考えます。そこで、昨年度設定した、学校閉校日を2日から3日にすることを継続し、今年度は、部活動指導員の任用の準備をしています。加えて、小学校5校、中学校3校に時間外対応として留守番電話を設置します。留守番電話の設置校はもとより、未設置校についても、就業時間後の夜間及び休日の電話対応をなくすことで、長時間労働を減らし、質の高い教育活動を展開できるよう、教育委員会と連携して取り組んでまいります。
 
七 「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」
 「シブカツ」は、人生百年時代を見据えて、概ね55歳以上のプレシニア世代からアクティブシニア世代をターゲットとして、区民一人一人の人生を豊かで充実したものにするために、様々な活動の場に繋げる支援を行う事業です。
まず、区主催のイベントや講座などの情報、地域のコミュニティーやNPOなどの社会活動の情報などを一元化して新たなウェブサイトを立ち上げて発信します。また「シブカツ」は、駅直結という利便性があるヒカリエ八階で事業展開する予定ですので、その場でも多くの情報を得ることができます。
 一方、新たな学びの場である「渋谷ハチコウ大学」の開校のため、S-SAP協定を締結している区内8大学と20社の企業と協議を進めています。大学のキャンパスで質の高い講義を受講することや、企業の持つさまざまなノウハウを学ぶ機会を提供してもらいますので、大学の図書館の利用などを含めて、学ぶ楽しさを改めて感じていただければと思います。
 さらに「シブカツ」ではシニア世代の相談窓口として、働く意欲をお持ちの方を、これまで培ってきたスキルを活かせる場に紹介するなど、個々の要望に応じたベストマッチングを図ります。
 現在、7月1日の開設に向けて、情報発信の拠点となるスペースの工事を進めており、今月29日には、ヒカリエでのオープニングイベントを予定しています。
 
八 渋谷公会堂
 渋谷公会堂は、建て替えのため平成27年10月から休館していましたが、先月末に無事竣工し、本年10月13日に開設する予定です。
 管理運営は指定管理者が行い、インターネットを活用した情報発信や、チケットの電子化への対応などにより、区民等が一層利用しやすい最先端の次世代型公共ホールを目指します。
 なお、ネーミングライツ事業者による施設のネーミング(通称名)は「LINE CUBE SHIBUYA」と決まりました。
 新しい渋谷公会堂が、あらゆる世代に多様な文化に親しむ機会を提供し、渋谷カルチャーの進化と、世界への文化・芸術の発信拠点となることを期待しています。
 
九 オリンピック・パラリンピック
 開催まで、あと一年余りとなりました。ぜひ多くの区民の皆様に、会場で直接、選手を応援し、世界のスポーツの祭典を肌で感じていただきたいと思っています。
 そのため本区では、区内の会場で開催される競技を中心に、ルールや魅力を理解し、応援の仕方などを経験していただくため、リアル観戦事業を更に推進していきます。
 今月29日には「卓球のリアル観戦」を、来月6日には「ハンドボールのリアル観戦」を順次実施してまいります。
 リアル観戦事業の運営を支えてくださる多くのボランティアには、選手や来場者へのおもてなしを実践していただきたいと思います。区ではこうしたボランティア経験を積み重ね、大会時における「渋谷区ならではのおもてなし活動」に備えていきたいと考えています。
 さらに、東京2020大会後のレガシーを見据え、子どもや高齢者など、誰もが手軽に楽しめるパラリンピック競技のボッチャの普及に取り組んでまいります。現在、各地域の公共施設にボッチャ用具を配備していますが、今後はゲームを進行するサポーターの養成事業も行い、多くの区民の皆様に楽しんでいただけるよう体制を整えていきます。
 
十 高齢者福祉
 高齢者福祉施策については、本区の最重要課題の一つと捉え、特に認知症施策につきましては、人生百年時代を見据え、力を入れていきたいと考えています。
 今年度は、これまで以上に、区民の皆様の認知症に関する正しい理解促進を図っていくとともに、「認知症になっても住みやすいまち渋谷」を推進していくため、日本認知症予防学会と協定を締結し、予防から共生までをテーマに、毎年2回開催している「認知症フォーラム」をより拡大して開催する予定です。今月開催する今年度第1回の「認知症フォーラム」では、区役所大集会室で行うシンポジウムのほかに、15階の「スペース428」を活用し、各種イベントや展示をはじめ、オレンジカフェやライブラリーコーナーを設け、認知症についての理解を深めていただきます。また、秋には認知症を理解する普及啓発事業として定着してきた「RUN伴(らんとも)」や、認知症予防に関する取り組みにも挙げられている「うた」のイベントなどを後援するとともに、認知症高齢者の見守りとして、AI搭載ロボットの活用に向けた実証を行ってまいります。
 来年2月に開催予定の第2回「認知症フォーラム」に至るまで、さまざまな事業を連続して展開しながら、区民の皆様に対し認知症の正しい理解の普及啓発に努めてまいります。