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令和2年第3回区議会定例会での発言

更新日

2020年10月5日

 本日ここに、令和2年第3回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

 国内の新型コロナウイルスの感染者は6万8千人以上を数え、感染拡大に歯止めがかかりません。とりわけ、緊急事態宣言解除後の東京都における感染者数の増加は際立っており、今月1日現在、2万人を超えています。本区においても連日の感染が確認され、累計900人に迫り感染の勢いは衰えを見せません。
この間、区役所、区立学校、区内認可保育園や福祉施設などで陽性者が発生しておりますが、濃厚接触者の特定及び施設内の消毒を迅速に行い、感染拡大を最小限に抑えてきました。
 また、これまで2回の臨時会及び第2回定例会でご議決いただいた補正予算により、特別定額給付金を始めとする各種給付金の支給、停滞する地域経済への支援、避難所における感染症対応物品の備蓄、PCR検査体制の拡充等に注力してまいりました。
さらに、本定例会においても、新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算案を上程しております。
 また、8月1日から健康推進部に、新型コロナウイルス感染症対策担当部長の下、担当課長、担当主査を新たに組織編成し、感染症への対応を強化したところです。
 引き続き、区議会とも連携させていただき、感染症対策に万全を期し、区民の安全安心の確保と地域経済への支援に意を注いでまいります。ウィズコロナにおける区政運営を確実に舵取りしていく所存です。

1 初めに、防災についての取組です。
 コロナ禍においても、首都直下地震などの大地震や大型台風、ゲリラ豪雨などの風水害は待ってはくれません。複合的に被災した場合、避難所の開設には感染症予防対策が不可欠となります。現在、マスクや消毒液等の衛生用品に加え、パーテーション、非接触型体温計やフェイスシールドなど、感染予防に必要な備蓄を鋭意進めているところです。加えて、感染症予防に留意した「渋谷区避難所運営基本マニュアル試行案」を策定しました。本マニュアルは、地震や風水害が発生したときに、避難所を円滑に立ち上げ、適切に運用し、閉鎖するまでの手順を具体的に示したものであり、各避難所の個別マニュアルの策定に資する基本的な内容になっています。特に、感染症予防のための居住区分の検討や避難者の健康確認のためのチェックシートなど、様々な工夫を盛り込み、区民の皆様の感染症に対する不安を可能な限り減らしていくことに力点を置きました。現在、町会連合会の地区ごとに説明を重ねており、今後、頂いたご意見、ご要望も参考にした上で確定版を策定してまいります。 

2 次に、教育における取組についてです。
 今月、教育タブレット端末を含む、教育ICT基盤を更新しました。この3か年取り組んできたことを礎に、更に学習の個別最適化に向けた取組や校務支援システムの改善に努めていきます。
新型コロナウイルスの感染が収束に至らない状況下では、遠隔・オンライン授業と学校での対面授業とを合わせて行うハイブリッド化を推進することが重要です。そのため、新システムについては、双方向型オンライン学習を一層円滑に行うことができるものを導入しました。教育委員会では、授業のハイブリッド化も視点に含め、ICT教育に係る取組を更に進めていくため「渋谷タブレットの日」を令和2年度は各校で、令和3年度は近隣の学校が集まって、そして令和4年度には区内全校が合同で、昨年のように全国に発信する公開授業の開催を構想しています。
 引き続き本区のICT教育については、教育委員会と連携しながら、全国の先駆けとなるよう取り組んでまいります。
一方、このコロナ禍により中学校の部活動が自粛や中止となる中、3年生にとって中学校生活最後となる夏季大会も中止が決定されました。そこで、7月から8月にかけて、サッカー部、軟式野球部、バスケットボール部等の部活動の集大成となるように「まとめの大会」を実施しました。この取組は、試合だけでなく、プロスポーツ選手やコーチ、実業団等で活躍している選手との交流もあり、何より彼らから「逆境に負けず、強い気持ちで挑み続ける」という教えを頂き、生徒にとって思い出に残る大会になったと思います。
また、夏休み期間中に児童・生徒にスポーツをする機会を提供することが、このコロナ禍だからこそ重要だと考えました。
子どもたちが水泳をしたり、水に親しんだりすることを目的とした小学校のプール開放を、今年は例年の4校から6校に拡大して実施しました。開放に当たっては感染予防対策に十分に配慮したことで、利用者にご不便をおかけしましたが、例年をはるかに上回る参加がありました。
また、自宅でできる運動動画「スポチャレ!夏休み編」の配信を行い、体力に応じた運動習慣を身に付けることを狙いとして「縄跳び、陸上競技、運動ドリル等」の動画を区ホームページにアップし、多くの小中学生に利用してもらいました。
 例年各地域で実施している「ラジオ体操」も、コロナ禍の影響により多くが中止となりました。そこで、1日1会場、区内7か所で「渋谷のラジオ体操」と銘打って実施し、運営には区と関わりの深い「サンロッカーズ渋谷」や「TOKYO DIME」、 「TOKYO CITY F.C」にご協力いただきました。また、自宅にいても参加できるよう、渋谷のラジオでも同時刻に放送されました。夏の風物詩である朝の「ラジオ体操」の地域文化を、来年につなげることができたと考えています。
 
3 次に、渋谷区最大のイベントである「渋谷区くみんの広場」についてです。
 「くみんの広場」は、渋谷を愛する人々が手を結び「わが街と誇れる渋谷」の形成を目指す区民の集いとして昭和53年にスタートし、今年で43回目を迎えます。当初、例年通り代々木公園会場での開催を予定していましたが、コロナ禍にあって約10万人が集まるイベントを開催することは、いわゆる三密を避けることが困難であることから、実行委員会とも相談し、取り止める方向で調整しています。
とはいうものの、毎年大変楽しみにされている多くの区民の皆様のため、何とか形を変えてでも実施したいという思いもあり、現在、ホームページやラジオ放送を活用した「オンライン版くみんの広場」の開催について検討を進めています。この「オンライン版くみんの広場」は、専用ホームページを開設し、ライブ配信等の方法を駆使してテントや舞台での参加団体の皆様の活動や演技を紹介するとともに、併せてラジオ放送により様々な情報をお届けすることで、リアルでの開催にはない新しい魅力を発信していこうと考えています。
ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた新たな試みとして「集まらなくても集まれる」を基本方針に加え、オンラインでの開催とするものです。今後、区民の皆様にもしっかりと周知し「新しい生活様式」に対応した「新しいくみんの広場」を実現したいと考えています。
 
4 次に「新成人を祝う会」についてです。
 「新成人を祝う会」は、成人に達した若者に責任ある大人としての自覚を促すとともに、新しい門出を祝福することを目的に開催しています。新成人やご家族にとって大きな喜びの日であり、人生に希望を見い出す大切な節目であると考えます。
 しかしながら、コロナ禍においては、感染拡大防止と参加者の安全確保が必須となります。したがって、来年1月の「新成人を祝う会」は「LINE CUBE SHIBUYA」での開催を変更し、オンラインで開催することを検討しています。具体的な内容は新成人で構成する実行委員会が企画していきますが、厳しい現下の状況を乗り越え、渋谷区から新しい成人式の在り方が発信できるものと考えています。
 
5 次に、公益社団法人日本将棋連盟との協定についてです。
 日本将棋連盟は、創立96年を数える将棋界の総本山であり、千駄ヶ谷に所在する東京・将棋会館は、棋士を志す人や将棋を愛する人の聖地であり、地域のシンボリックな存在でもあります。
将棋は、気軽な娯楽として親しまれている一方、思考力、集中力、決断力、洞察力、日常の礼節をも身に付けることができる伝統文化として、本区では、早くから千駄谷小学校での「子供将棋教室」を始め、放課後クラブ事業での「将棋教室」、地域青少年クラブでの「子ども将棋大会」など、青少年の育成という観点からも普及を図ってきました。
また、将棋を題材としたアニメなどで人気の「3月のライオン」のキャラクターを施したデザインマンホールを千駄ヶ谷大通り商店街に設置する、或いは、この8月に千駄ヶ谷駅前公衆便所へ将棋関連の展示品を陳列するなど、まちのイメージ作りにも「将棋」を活用してきました。
コロナ禍の閉塞感が漂う昨今ではありますが、将棋界においては藤井聡太二冠の活躍などが大きな話題となり「新しい生活様式」が定着していく中で、礼節を重んじ、静寂の盤上で激しい攻防を繰り広げる将棋の真剣勝負は、人々を魅了し活力を与えるものと感じます。
こうしたことを踏まえ、将棋の伝統的、文化的価値を尊び、更なる普及と継承の取組を推進したいと考え、このほど、日本将棋連盟と相互協力に関する協定を締結することとしました。
本協定に基づき、今後、子どもたちへの一層の普及と継承に力を入れていく外「シブカツ」や「シニアクラブ」などを通じて、高齢者への普及にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。「将棋の街 渋谷区」となるよう、今後もまちづくりや観光振興、次世代育成などの場においても拡大を図ってまいります。
 
6 次に「渋谷区自殺対策計画」策定の取組についてです。
 自殺はその多くが、追い込まれた末の死であり予防可能な社会的問題であると考えられています。誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して改正された自殺対策基本法及び自殺総合対策大綱では、区市町村の義務として自殺対策計画を策定することが定められています。本区は、平成30年に策定された「東京都自殺総合対策計画」を踏まえ、区の実情を勘案した自殺対策計画の策定を本年8月を目途に検討してきました。
しかし、今般のコロナ禍によって、新型コロナウイルス感染症そのものへの不安や心配に加え、様々なストレスを抱えた方の増加が懸念され、当面このような事態が続くことを考慮すると、悩みや不安を抱えた方へ、より丁寧な対応が必要となっています。
したがって、計画の策定を本年度末まで延期し、区の新型コロナウイルス感染症対応の取組等を反映させ、生きることへの重要な支援策である「渋谷区自殺対策計画」を策定してまいります。
 
7 次に、新島青少年センターについてです。
 長年区民の皆様に親しまれてきた新島青少年センターは、老朽化等により今後の施設の在り方について検討を進めていたところ、昨年の台風15号で甚大な被害を受けました。そのため、建物や設備の復旧に目途が立たないことから利用を中止し、今年度解体工事を行う予定です。
 この間、施設の再建については、区議会からも様々なご意見を頂き、多角的に検討してきましたが、新たな施設の建設や運営に一から取り組むには、現状において解決困難な課題が多く、新たな宿泊施設を開設することは断念せざるを得ないとの結論に至りました。
 施設の閉鎖に当たっては、関係者や区民の皆様のご理解を頂き
ながら丁寧に進めてまいります。これまで培ってきた新島村との関係を大切にしてこれからも交流を継続し、多くの区民に新島を訪れていただきたいという気持ちに変わりはありません。マリンスポーツやレジャーを楽しみにされている方々や、長年にわたり交流を続けて来られた団体の皆様などが、今後は民宿等を利用し新島の魅力に触れていただけるよう、区として新たな事業や取組を導入してまいります。
 
8 次に、猿楽橋についてです。
 JR山手線・埼京線の渋谷駅と恵比寿駅の間にある猿楽橋は、都市計画道路補助第20号線、いわゆる八幡通りがJR線と交差する箇所の跨線橋であり、周辺地域にとって重要な交通インフラとしての役割を担っています。
しかし、昭和9年の供用開始から80年以上を経て、橋りょうの経年劣化に加え、大規模補強工事の未実施、通行車両の大型化や台数の増加などにより、今後の対応を検討する必要に迫られていました。
こうしたことから、平成28年度に、橋りょうの専門家をメンバーに招いて「猿楽橋検討会」を立ち上げ、安全に通行するために必要な対策の検討を進めてまいりました。
その検討結果を基に、新たな橋りょうの形式や架け替え事業のスケジュール等をとりまとめ、パブリックコメントを経て、本年2月に「猿楽橋長期計画」を策定しました。
 猿楽橋の更新に当たっては、工事に長期間を要することから、設計段階から沿道にお住いの方の負担を軽減する方策等、施工上の工夫を盛り込む必要があります。こうしたことから、早い段階から民間の優れた施工技術を導入するため、本年6月に事業者の公募を開始し、選定を行っているところです。
 今後も区議会並びに地域の皆様のご理解、ご協力を得ながら、安全な交通インフラを次世代へ継承するため、事業を推進してまいります。
 
9 次に「玉川上水旧水路緑道の再整備」についてです。
 玉川上水旧水路緑道の再整備については、平成28年度に基礎調査を実施し、これまで地域の皆様との対話を重ね、多くのご意見を頂きながら進めてまいりました。
今年度からは、これまでのササハタハツまちづくりフューチャーセッションや緑道ワークショップを統合した「ササハタハツ会議」を設置し、その第1回目を6月30日に開催したところです。
その中で、世界でも活躍する建築デザイナーから、玉川上水の歴史と地域の皆様のご意見やご要望から感じとったものを表現した緑道のコンセプトプランの提案がありました。
このコンセプトプランは「農」というテーマの下、緑道が地域の皆様の主体的な活動を育てる場となることで地域を活性化し、都会で暮らすことの豊かさを創出して世界の人々を魅了する公園へと生まれ変わる未来へのプロジェクトとするものです。
今後「ササハタハツ会議」で議論を重ね、令和4年度からの工事着手を目指して具体的な設計などを進めてまいります。区民を始め多くの皆様に、安心と誇りをもって利用していただける世界一の緑道を実現する考えです。
 
10 続いて、福祉についてです。
 初めに福祉施設における新型コロナウイルス感染予防対策と事業継続支援についてです。渋谷区医師会の協力の下「はぁとぴあ原宿」で4月から5月にかけて発生した集団感染の検証作業を実施し、福祉施設における、より実践的な「新型コロナウイルス感染症予防マニュアル」を作成しました。
区内の障がい者福祉施設及び高齢者福祉施設が本マニュアルを活用し、感染症予防や集団感染の発生防止対策を徹底することで、区民の皆様が安心して施設を利用できるよう取り組んでいきます。
介護サービスや障がい福祉サービスは、利用者やその家族の生活を維持する上で欠かせないものであり、感染防止対策に万全を期した上で必要なサービスが継続的に提供されることが重要です。しかしながら、デイサービスを始めとする各事業所は、利用者がサービス利用を自粛することなどから経営上多大な影響を受けており、減収割合等から国の持続化給付金の基準に満たない事業所においても運営状況は厳しいものとなっています。
本定例会に上程した補正予算案には、国の持続化給付金制度を補完する区独自の給付金を計上しており、これによりコロナ禍で減収となっている事業所の事業継続を支援します。
併せて、区立の高齢者及び障がい者入所施設における感染拡大防止対策として、東京都の補助事業を活用し、特別養護老人ホーム、グループホーム及び「はぁとぴあ原宿」に簡易陰圧装置を設置するための費用を計上しました。ウイルスの流出を防ぐことができる陰圧室を整備することで、入所施設での感染拡大の防止を図ります。
今後も、感染防止対策を講じながら必要なサービス提供に尽力している事業所の事業継続を支援し、渋谷区内の介護及び障がい福祉サービスの維持に努めてまいります。
一方、現下においても、新たな福祉基盤の整備は着実に進めていかなければなりません。
本区初となる看護小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者及び障がい者グループホームなどを併設する「恵比寿西二丁目複合施設」、また、84床の特別養護老人ホームに加え、デイサービス事業などを行う「かんなみの杜・渋谷」の両施設は、令和3年春の竣工に向け、建築工事を進めています。
さらに、令和6年開設予定の重症心身障がいのある方や医療的ケアを必要とする方などを対象とする「神宮前三丁目障がい者施設」については、現在実施設計を行っており、障がいのある方が安心して暮らせる環境の整備も進めているところです。
ウィズコロナの時代における新たな福祉サービスの在り方の検討なども併せて、引き続き「あらゆる人が、自分らしく生きられる街」の実現に向け、福祉の充実を図ってまいります。
 
11 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案4件、令和2年度一般会計補正予算案1件、令和元年度一般会計歳入歳出決算等4会計の決算審査、報告案件6件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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