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令和4年第1回区議会定例会での発言

更新日

2022年2月22日

(令和4年2月22日(火曜日)、第1回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

令和4年第1回定例会 区長発言
 
本日ここに、令和4年第1回渋谷区議会定例会を招集し、令和4年度予算案をはじめ、多くの議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題について私の所信の一端を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 
1 初めに、教育における取組についてです。
現状における教育環境は、感染症の影響により、厳しい状況が続いており、学級閉鎖や学年閉鎖をした学校があります。
この間、全ての学校の全ての学級で、休んでいる児童・生徒にはオンライン学習を実施し、子どもたちが学習を継続できるよう、教員が工夫していたと報告を受けています。
今後も、どのような状況においても子どもたちの学びを止めないことが重要です。同時双方向型のオンライン学習ができるネットワーク環境の構築など、子どもたちの学習環境の一層の充実に取り組んでいきます。
また、教育委員会では、昨年3月に策定した「学校施設長寿命化計画」に基づき「学校施設の未来像」や「将来のロードマップ」について検討を重ねてきました。
これからの新しい時代の学びを実現するために、多様な学習空間やゆとりある生活空間を設けるとともに、子どもたちと地域や社会の方々とが交流でき、学校外にも学びの場が広がるような学校とし、地域コミュニティの拠点や避難所としての活用も視野に入れた学校施設を目指しています。
来月末までに、全ての学校を対象とした、直近10年間の中期的視点、30年間の長期的視点に立った建て替え・改修のロードマップを作成する予定であり、教育環境に最大限配慮しつつ、来年度は個別の学校の基本計画作成に着手してまいります。
 
2 次に、子育て支援についてです。
本年4月の保育園入園の申込みは、1次募集に1,278人の申請があり、現時点で待機児童は見込まれていません。待機児童ゼロを2年連続で達成できるかは、2次募集の結果次第となりますが、可能な限りご希望の園に入園できるよう慎重に調整を進めてまいります。
また、依然としてコロナ禍が続く状況も踏まえ、非来庁型サービスを推進するため、入園申込みのオンライン申請を、本年秋から開始します。
一方、オープン当初から多くの親子が訪れている「渋谷区子育てネウボラ」は、区内企業や地域の皆様の支援を受け、子育てに関わる全ての人が交流できる場となっています。そこでは、子育てに関する悩みや相談について保健師や保育士などの専門職が丁寧に対応することで、子育ての孤立化を防いでいます。
なお、本年4月には東京都児童相談センターとの連携強化を目的に、渋谷区子育てネウボラ内にサテライトオフィスを設置し、児童虐待の予防や虐待対応に迅速に対応するための体制を整えてまいります。
 
3 次に、スポーツ振興についてです。
去る2月4日から第24回オリンピック冬季競技大会が北京で開催され、渋谷区立広尾小・広尾中出身の原大智選手が2大会連続出場を果たしました。決勝へ進出したものの、惜しくもメダル獲得はなりませんでしたが、競輪との二刀流に挑戦し、果敢に挑む姿に感動しました。原選手に心からの賛辞を贈りたいと思います。
昨年の東京2020大会でも、多くの選手が素晴らしいパフォーマンスを繰り広げ、人々の興味や関心が高まっていると感じています。
こうしたムーブメントを活かし、来年度も大会レガシーであるパラスポーツ推進事業を継続していきます。パラスポーツを気軽に体験できるパラスポーツフェスタ、区長杯大会や区内で開催される国際大会での区民観戦、大会やイベントをスポーツボランティアが支えていく場の創出を行います。
さらに、年齢や経験に関わらず、誰もが気軽に楽しめるランニングイベント「(仮称)渋谷区ロードレースフェスタ」を水道道路において開催します。地域の方々が間近でランナーを応援し、地域を盛り上げるイベントとして発展していくことを期待しています。
また、渋谷ユナイテッドによる「シブヤ部活動改革プロジェクト」では、本年4月からの活動本格化に向けて、子どもたちのニーズに即した10種目のスポーツ・文化活動がスタートします。今後「総合型地域クラブ」を視野に入れた事業展開として、あらゆる世代が生涯を通じてスポーツ・文化活動を楽しめるように、幼児向けの「水泳教室」、走り方・投げ方などを指導する「陸上教室」を実施していきます。
引き続き、学校関係者や保護者のご理解と、多くの関係者のご協力を頂きながら事業を展開してまいります。
 
4 次に、公共施設の整備について3点申し上げます。
一つ目は、玉川上水旧水路緑道についてです。
 これまでも地域の方々との対話を重ね、多くのご意見を頂きながら再整備計画の検討を進めてきましたが、その一環として、農園の維持管理ルールの検討をするため1月に公募した「仮設FARM」については、20名の枠に対して300名を超える方にご応募頂き、本事業に対する区民の皆様のご理解とご期待の高さを感じ、大変嬉しく思っています。
「農」から始まる強いコミュニティと最先端の田舎暮らしを実現する「ファーム」という考えの下、来年度は具体的な整備計画を取りまとめてまいります。
二つ目は、猿楽橋についてです。
 JR山手線・埼京線の渋谷駅と恵比寿駅の間にある猿楽橋は、JR線と交差する跨線橋であり、重要な交通インフラです。昭和9年の供用開始から80年以上を経て老朽化が進み、抜本的な更新が必要なため、準備を進めてきました。
 一日も早く橋りょうの架け替えを実施するため、本年夏頃から工事に着手します。長期間に及ぶ工事となりますが、周辺住民の負担を軽減するよう十分に配慮しながら、区民の安全・安心を確保できるよう進めてまいります。
三つ目は、渋谷区ふれあい植物センターについてです。
 リニューアル工事に向けた準備のため、昨年12月28日をもって休園しました。17年に渡る本施設の運営に多くの方のご尽力を頂き誠に感謝いたします。
私は、かねて都会でできる「プチ農業」による本施設の活性化について提案してきましたが、従来の「みどりの情報発信」、「普及啓発の拠点」としての位置付けはそのままに、野菜等を栽培し収穫・消費するという「農と食の地域拠点」というコンセプトを加え、来年度リニューアル工事に着手し、令和5年7月に再開する予定です。
本施設が、地域に愛されるより魅力的な地域還元施設となるよう整備を進めてまいります。
 
5 次に、福祉について三点申し上げます。
一点目は、重層的支援体制整備事業についてです。
生活に困窮されている方はもとより、8050問題やひきこもり、ヤングケアラーなどの社会課題に対応するため、当事者に寄り添い伴走しながら支援する重層的支援体制整備事業を、区政における最優先施策として引き続き取り組んでいきます。
現在は、職員を対象とした勉強会の開催、関係部門へのヒアリングの実施などにより、相談体制の現状分析、部署間の連携の在り方や所管が定まっていない事象などの課題整理を行っています。
来年度は更に体制を強化し、ヒアリング等により見えてきた課題の解決に取り組んでいきます。また、地域福祉コーディネーターを新たに配置するとともに、生活支援コーディネーターを増員し、地域団体やNPOなどとより一層の連携を図り、本事業の柱となる地域づくりの体制を構築していきます。
本事業は地域共生社会の中心となる事業です。区民一人ひとりが我が事と捉え、世代や分野を越えて地域が一体となり、求められる支援が重層的に切れ目なく届くよう、令和5年4月の事業開始に向けて全力で取り組んでまいります。
二点目は、高齢者デジタルデバイド解消事業についてです。
昨年9月から開始したスマホの無料貸出しは、現在1,500名の方が継続利用しており、LINEやビデオ通話、カメラ、 YouTube、地図アプリなどを使いこなされています。「地方にいる孫とビデオ通話ができた」、「スマホで3回目のワクチン予約ができた」など、スマホを活用することによって生活の質が向上したという事例も聞いています。
来年度は、区内スタートアップ企業が開発したアプリによる健康増進プログラムの実施や、区内大学と連携したスマホ利用状況データの分析、また、今年度育成したデジタル活用支援員の活用により、デジタルデバイド解消に向けた取組を更に進め、高齢者の生活の質の向上に取り組んでまいります。
三点目は、臨時特別給付金についてです。
感染症の影響が長期化する中、様々な困難を抱える方の生活を支援するため、住民税非課税世帯及び家計急変世帯を対象に給付金を支給します。
住民税均等割が非課税となる世帯に対しては、既に支給手続に必要な確認書を発送し、本日から順次支給を始めています。
家計が急変した世帯の申請受付は今年9月末までとなりますが、丁寧な周知と相談に努め、支援を必要としている方に適切に給付金が届くように事務を進めてまいります。
 
6 次に、デジタル地域通貨の導入についてです。
感染症の影響によりダメージを受けている区内の事業者に対し、これまで特別融資を始めキャッシュレス決済を活用した消費活性化事業、感染対策グッズの配布など、様々な支援を行ってきました。しかし、影響は依然として続いており、事業者を始め商店会など地域コミュニティに対し、より一層の力強い支援を行っていく必要があります。
そこで、来年度から持続的かつ渋谷区らしい産業支援として、渋谷区独自のデジタル地域通貨を導入します。
導入に当たっては、手数料などの店舗の負担を軽減するとともに、プレミアム付キャンペーンの実施や地域行事に参加した際のポイント付与など、商店街や地域コミュニティの活性化に寄与する仕組みを構築していきます。
また、区民や来街者、企業など様々な方にこのデジタル地域通貨を利用していただくことに加えて、利用状況のデータを分析し活用することで、更なる産業振興につなげてまいります。
 
7 次に、DX推進についてです。
新たな時代を見据え、業務を更に効率化し、きめ細かく質の高い行政サービスに取り組んでいくため、DXすなわちデジタルトランスフォーメーションを推進する施策を展開していきます。
まずは「デジタルコミュニケーションプラットフォーム」の構築です。
少子高齢化が急速に進み、ライフスタイルも多様化している中で、区民一人ひとりの課題も複雑化・複合化しています。こうした課題に対応するため、デジタルを活用して組織横断的な対応ができる仕組みが「デジタルコミュニケーションプラットフォーム」です。新たなポータルサイトを構築し、区民や事業者のニーズに合わせて最適な情報やサービスを提供していきます。
次に「シティダッシュボード」の拡充です。
複雑化する都市の課題を的確かつ迅速に把握するため、本区の現状をデータで分かりやすく可視化するツールが「シティダッシュボード」です。来年度はこのツールを拡充し、産官学民が連携して課題解決に向けた施策を共創していきます。
例えば、交通分野では交通機関の利用状況や違法駐車など、交通課題に関する様々なデータを官民で収集・分析することで、区民サービスや生活環境の改善につなげていきます。
さらに、区有施設の予約システムを刷新します。
施設の利用については、予約システムの対象施設の拡大とともに、スマートフォンからも簡単に利用予約ができるよう、利便性の更なる向上を図ります。また、より多くの方にご利用いただけるよう利用要件の見直しも併せて検討していきます。
他にも、区ウエブサイトをリニューアルし、一層のアクセシビリティとレスポンスの向上、そして誰もが見やすく分かりやすい情報発信などに努めてまいります。
 
8 次に、施策を推進するための組織改正についてです。
区政のDX化を着実に実施し行政サービスの質の向上を推進するため、ICT・広報広聴・スマートシティ推進部門をまとめるデジタルサービス部を新設する一方、持続可能な行財政運営体制の更なる強化を図るため、経営企画部に財務部を統合します。
また、現在の担当部のうち、産業観光文化担当、生涯活躍推進担当、まちづくり推進担当を、それぞれ部として独立させ、機動的な推進体制を確保していきます。
そのうち、産業観光文化部には、担当部の事務に文化財、博物館、松濤美術館などの事務を加え、文化施策の一元化を図ります。また、生涯活躍推進部には、シブカツをはじめシニアいきいき事業、生涯学習や図書館事業を集約し、区民に学びの場や活躍の機会を提供する施策を総合的に推進してまいります。
 
9 次に、区制施行90周年についてです。
渋谷区は本年10月1日に区制施行90周年を迎えます。これを記念し、渋谷区公認のパブリックデータであるシブヤフォントを使用した「記念ロゴマーク」を制作しました。来年度は90周年連携事業はもちろん、本区で実施する多くの事業にこのロゴマークを活用することで盛り上げていこうと考えています。
また、この機会に区制100周年に向けた未来へのメッセージを発信する「記念ブック」を制作します。本年秋には発刊し、区民及び渋谷区に関わる多くの方にご覧いただけるよう準備を進めています。他にも広報資料のデジタルアーカイブサイトを構築し、貴重な情報を公開していく予定です。
今年は区制90年の歩みを振り返り、区民や区に関わる人々が、先人たちの足跡に敬意と感謝を表し、原点を見つめ直す節目となる年です。さらに、10年先に訪れる区制施行100周年に向かって力強い一歩を踏み出し、区民の皆様と共に、渋谷区の未来像「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現を加速させていくことができる、そんな1年にしたいと思っています。
 
10 最後に、令和4年度予算案の規模について申し上げます。
令和4年度一般会計歳入歳出予算額は、1,062億6,700万円であり、前年度比6.9%の増となっております。
これに国民健康保険事業会計等の3特別会計、489億5,421万9千円を加えた各会計の合計額は、1,552億2,121万9千円で、前年度比7.0%の増となっております。
 
本定例会には、条例案11件、令和3年度一般会計補正予算案2件、令和4年度当初予算案4件、契約議案1件、その他議決案件5件、渋谷区監査委員の同意案件2件、人権擁護委員の諮問5件、報告案件1件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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